パーキンソン病やレビー小体型認知症の人々に対して昔を振り返ってもらうと,発達障害の一つである注意欠陥・多動性障害(attention deficit/ hyperactivity disorders: ADHD)だった率が他の認知症に比較して有意に高いことが報告されています.同じく,原発性進行性失語症の人々を調査すると,本人やその家族に学習障害(learning disability: LD)だった人々が他の認知症に比較して有意に高いことが報告されています.
一方,これまで見過ごされてきたことですが,臨床的に前頭側頭型認知症と診断された患者の中には,それまで診断されることが無かった自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群)の人がいるのではないかと考えられていましたが,私たちの研究チームは,アルツハイマー病の人々と比べて,臨床的に前頭側頭型認知症と診断された人の中には,発症前に自閉症スペクトラム障害であった可能性が高いことを改めて確認しました.
ただし,自閉症スペクトラム障害が前頭側頭型認知症の危険因子となるのか,あるいは前頭側頭型認知症と診断された方の中に,未診断であった自閉症スペクトラムが含まれているだけなのかは未解決なままです.
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