昭和大学との共同研究が、オープンジャーナルの神経科学雑誌「frontiers in Neuroscience: Neurodegeneration」に掲載されました。
進行した認知症の患者さんは、自発的な動きが失われ、自らの状態を訴えたりすることができないばかりか、問いかけに対しても反応することができないことが少なくありません。
しかし、そのような患者さんでも、目は動き、周囲を観察しているように見受けられることがありますが、周囲の問いかけに対して反応する訳ではないので、患者さんはどのくらい分かっているのか、周囲の人々は知る術がありませんでした。
このような中、私たちの研究チームでは、重度に進行した前頭側頭型認知症の患者さんに、2種類の人物を見てもらい(直前に見た人物の写真と、初めて見る人物の写真)、刺激の提示に合わせて誘発される眼球運動を計測することで、人物の弁別ができる能力を有することを明らかにしました。
このような手法を使うことによって、訴えることができない患者さんの内面を知るきっかけになるのではないかと考えております。
以下をクリックすると、論文を見ることができます。
- Detection of residual cognitive function through non-spontaneous eye movement in a patient with advanced frontotemporal dementia.
Midorikawa A, Itoi C, & Kawamura M.
Front. Neurosci., 24 October 2014