都立駒込病院脳外科と本研究室の博士後期課程の糸井さん他との共同研究の研究成果が、神経学・脳外科学の専門誌(Clinical Neurology and Neurosurgery誌)に掲載されました。
- 掲載誌:Clinical Neurology and Neurosurgery 139, December 2015, Pages 307–310
- 論文タイトル:Predicting sleepiness during an awake craniotomy
- 著者:Chihiro Itoi, Kentaro Hiromitsu, Shoko Saito, Ryoji Yamada, Nobusada Shinoura, Akira Midorikawa
脳外科の手術の手法の一つに、手術中の操作などによって脳の機能に対するダメージをできる限り少なくすることを目的とした覚醒下手術があります。手術の途中で患者さんに目を覚ましてもらい、実際に話したり手足を動かしたりして、脳の機能低下が生じていないか逐一確認する手法です。しかし実際の手術となると患者さんによって覚醒度が異なることが知られていましたが(積極的に課題に取り組む方がいる一方で、眠気が強く課題の実施が困難な方もいます)、どのような原因が術中の覚醒度に関係しているのか不明な点が多くありました。そのような中、術前の認知機能課題と術中の覚醒度の関連を調べてみたところ、頭頂葉の機能と関連する認知課題の成績が術前から低下している患者さんにおいて、術中の覚醒度が低い傾向が認められました。まだ可能性の段階ですが、術前の頭頂葉の機能が術中の態度や状態を左右するのではないかと考えられます。