東京で開催された第39回日本高次脳機能障害学会(2015年12月11日・12日)で研究室から以下の発表を行いました。
- 糸井千尋、弘光健太郎、斎藤聖子、山田良治、篠浦伸禎、緑川 晶:左頭頂葉腫瘍摘出術中に自己認識に変化が見られた一例
- 弘光健太郎、糸井千尋、斎藤聖子、山田良治、篠浦伸禎、緑川 晶:時間情報および身体の空間的位置が触覚性消去現象に与える影響
東京で開催された第39回日本高次脳機能障害学会(2015年12月11日・12日)で研究室から以下の発表を行いました。
昭和大学医学部および中央大学理工学部との共同研究の研究成果が神経学・神経心理学の専門誌(Neurocase誌)の電子版に掲載されました。
本研究は、認知症の中でも脳の前方(前頭葉や側頭葉)を中心に病気が進行する前頭側頭型認知症の方を対象としたものです。一般的に、認知症になると徘徊(方向感覚や記憶障害により道に迷う)や周徊(同じ道を行ったり来たりする)が生じることが知られていますが、アルツハイマー病とは異なり、前頭側頭型認知症では徘徊よりも周徊が生じやすく、方向感覚は比較的保たれていると考えられています。一方で、前頭側頭型認知症でも、病状が進行した状態では外出が困難であったり、制限されていたりするために、移動する能力についてどのくらい残されているのか明らかではありませんでした。そのような中、我々の研究チームは、旦那さんの協力を得て、重度に病状が進行した状態でも患者さんご自身が主体的に行っていた散歩の記録を利用して、経路の解析を行ったところ、いわゆる徘徊や周徊に該当せず、常に新しいルートを選択して移動することが明らかになったばかりか、一見するとランダムに見える経路選択も、一定のルールに則っていることが明らかとなりました。脳の前方の機能が著しく低下した状態であっても、脳の後方が残されている限り、移動することが可能であることを明らかにすることができました。
都立駒込病院脳外科と本研究室の博士後期課程の糸井さん他との共同研究の研究成果が、神経学・脳外科学の専門誌(Clinical Neurology and Neurosurgery誌)に掲載されました。
脳外科の手術の手法の一つに、手術中の操作などによって脳の機能に対するダメージをできる限り少なくすることを目的とした覚醒下手術があります。手術の途中で患者さんに目を覚ましてもらい、実際に話したり手足を動かしたりして、脳の機能低下が生じていないか逐一確認する手法です。しかし実際の手術となると患者さんによって覚醒度が異なることが知られていましたが(積極的に課題に取り組む方がいる一方で、眠気が強く課題の実施が困難な方もいます)、どのような原因が術中の覚醒度に関係しているのか不明な点が多くありました。そのような中、術前の認知機能課題と術中の覚醒度の関連を調べてみたところ、頭頂葉の機能と関連する認知課題の成績が術前から低下している患者さんにおいて、術中の覚醒度が低い傾向が認められました。まだ可能性の段階ですが、術前の頭頂葉の機能が術中の態度や状態を左右するのではないかと考えられます。
名古屋で開催された日本心理学会第79回大会(2015年9月22〜24日)に研究室から緑川の他、博士前後期課程の斎藤さんと弘光君が参加・発表しました。発表演題は,それぞれ以下の通りです。
(ポスター発表)
(公募シンポジウム)
札幌市で開催された第39回日本神経心理学会総会(2015年9月10日・11日)で以下の発表を行いました。
医学書院が刊行する雑誌(BRAIN and NERVE)に総説「発達障害と認知症」が掲載されました。詳細は以下の通りです。
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 67巻9号:125-132,2015
博士課程修了生の花塚優貴さん(現 中央大学人文科学研究所 客員研究員)の研究成果が、動物園水族館雑誌に掲載されました。詳細は以下の通りです。
<論文タイトル>
認知エンリッチメントツールとしての iPad の利用可能性
スマトラオランウータンを対象とした事例研究
<掲載誌>
動物園水族館雑誌 Jour.Jpn.Assoc.Zoo.Aqu.,56(3):71-79,Jul.2015
<要約>
スマトラオランウータン 1 頭を対象とし、iPad の認知エンリッチメントのツールとしての利用可能性を検討した。室内放飼場兼寝部屋内にiPad を設置し、描画アプリケーションとインターネット電話アプリケーションに対する反応を記録した。その結果、描画アプリケーションでは、指や上唇を用いて線や点を描画する行動が確認された。またインターネット電話アプリケーションにおいては、担当飼育員に対して非担当飼育員よりも長い注視反応が見られた。また担当飼育員にのみ 上唇で画面に触れるという行動も観察された。さらにiPad を操作できるよう要求するような行動が認められた。以上の結果から、iPadはオランウータンの認知エンリッチメントのツールとして有用であることが確認された。
去る2015年7月18日~20日に京都大学で開催された第31回日本霊長類学会大会において、大学院修了生の花塚優貴さんが「優秀ポスター賞」を受賞しました。受賞をお祝いするとともに、今後のさらなる活躍を期待しています。
〇日本霊長類学会・優秀ポスター賞
花塚優貴(中央大学人文科学研究所 客員研究員・中央大学文学部 兼任講師)
発表演題「オランウータンは遅延呈示される自己像を認識できるか?」
http://primate-society.com/happyou10.html
オーストラリア・シドニーで2015年7月1日~4日に開催されたThe 5th INS/ASSBI Pacific Rim Conference(第5回 国際神経心理学会・オーストラリア脳損傷学会共催の環太平洋学会)において、研究室から博士後期課程の斎藤さん、糸井さん、弘光君が発表しました。発表演題は,それぞれ以下の通りです.
2014年度の3年生のゼミ活動の一環で、「高次脳機能障害の方へ〜当事者とそのご家族の方へ〜」と題したパンフレットを作成しました。高次脳機能障害の方々にとって利用可能な地域の社会的な資源について紹介したものとなっています。ご協力を頂いた施設の方々をはじめ、当事者やご家族の方々、本当にありがとうございました。
実際のファイルはこちらからダウンロードしてください(7.8MB)。両面印刷の上、中とじでご利用ください。尚、記載されている情報は2014年3月現在のものとなっております。